麻雀ビギナーの方が、最初にぶつかることの多い壁が、「鳴き」です。
より詳しく言えば「鳴いてもよいかどうか、鳴くべきかどうかの判断」となるでしょうか。
ルールさえきちんと把握しておけば、鳴き方自体はなんなく覚えられるでしょう。
ただ、「鳴く」という行為が自由だからこそ、鳴き方や鳴くタイミングには麻雀の腕が色濃く反映されます。
本記事では、麻雀で鳴くタイミングや鳴き方のコツなどについて、説明します。
「鳴き」は麻雀の重要な戦略のひとつであり、鳴きを多用して強いと言われているプロもいます。
初心者が苦戦しがちな最初の壁を乗り越えるために、参考にしてみてください。
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麻雀で鳴くことのメリット
麻雀で「鳴き」を戦略のひとつとして取り入れるためには、「鳴き」にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを、きちんと把握しておかなければなりません。
まずは、麻雀で鳴くことのメリットを説明しましょう。
より早くテンパイしやすくなる
麻雀では自分のツモ番で牌をひとつ持ってきて、手牌と入れ替えるかどうかの選択を行いますが、ツモ番で必ずしも必要な牌を持ってくるとは限りません。
必要牌でない牌を持ってきた場合は手牌を進められず、一順ムダにしたことになります。
その点「鳴き」では、必ず自分の必要な牌を手に入れられるので、手牌の進行速度が上がり他家よりも早くテンパイしやすくなります。
ダブロンやトリロンがない限り、一局にアガれるのは1人だけなので、より早くテンパイに近付けることは「鳴き」の大きなメリットのひとつです。
急所を解消できる
カンチャンやペンチャンといった受けは、有効牌が最大で4枚しかなく、どれだけ牌をツモってきても一向に面子ができないこともあります。
そのような箇所でも、上家から出た牌をチーすることで、面子を完成させることが可能です。
また、刻子を作ろうとする場合、他家によってすでに1枚河に捨てられていると有効牌は残り1枚しかなく、自力で持ってくるのはなかなか困難です。
そのようなケースでも、他家から出た牌をポンすることで、面子が完成します。
このように急所を解消できるのも、「鳴き」が重要な理由のひとつです。
面前では難しい手を仕上げやすくなる
チンイツやホンイツといった手は、手牌すべてを特定の種類の牌でそろえる必要があり、高得点ですが面前のまま仕上げるのはなかなか難しいことが多いです。
純チャンやチャンタのような役も、手牌を構成する要素がかなり限定されるので、面前のままで進めるのはかなり難しいです。
ただ、上で挙げたような役はいずれも「鳴いても成立する役」なので、ポンやチーを駆使しながら手を進めていくことができます。
鳴いてしまうと面前で仕上げた場合より翻数は落ちてしまいますが、面前で行こうとして結局仕上げられないよりは、翻数が落ちても上がれたほうが良いことは間違いありません。
面前で仕上げるのが難しい手をアガるために、「鳴き」は必要不可欠なテクニックです。
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麻雀で鳴くことのデメリット
麻雀で鳴くことには、いろいろなメリットがありますが、同時にデメリットもあります。
ここでは、麻雀で鳴くことのデメリットをご紹介します。
鳴くと成立しなくなる役がある
麻雀ビギナーの方が陥りがちなミスのひとつに、「鳴いたら成立しなくなる役を鳴いてしまう」ということが挙げられます。
例に挙げたチンイツや純チャンなどは、鳴いても成立する役なので、鳴いて仕上げても問題ありません。
たとえば、ピンフやイーペーコーのような役は鳴いてしまうと成立しなくなるので、鳴いて仕上げてアガるとチョンボになってしまいます。
「鳴き」のタイミングや有用性を適切に判断できるようになるためには、鳴いても成立する役と鳴くと成立しない役を、正確に判断できるようにならなければなりません。
得点が安くなりやすい
鳴くと成立する役でも、面前で仕上げた場合と鳴いて仕上げた場合では、翻数が変わります。
たとえば、面前で「チンイツ・リャンペーコー」を仕上げた場合と、まったく同じ面子構成ながらひと面子だけ鳴きで仕上げた場合の翻数は、以下のようになります。
- 面前:チンイツ(6翻)+リャンペーコー(3翻)=8翻(倍満)
- 鳴きあり:チンイツ(5翻)=5翻(マンガン)(リャンペーコーは鳴くと成立しない)
同じ面子構成でも、得点が倍満とマンガンでは大きく異なります。
また、面前では「リーチ」「ツモ」「裏ドラ」といった要素で得点がアップする可能性がありますが、鳴いてしまうとこれらのいずれもが消えてしまいます。
あらゆる要素において、鳴きは得点が安くなりやすい側面があることは、把握しておかなければなりません。
守備力が落ちる
麻雀では自分がアガりに向かうのと同様に、他家に振り込まないようにすることも重要です。
他家がリーチをかけてきた、他家がドラポンをしてきた場合などは、自分の手を多少曲げてでも守備に回らなければならないこともあります。
そのような場合、手牌が13枚あれば他家に当たらない牌を選んで捨てることは、そこまで難しくありません。
ただ、1回鳴くと手牌は10枚に、2回鳴くと手牌は7枚になり、選んで捨てられる牌の種類も少なくなります。
そのため、守備力が落ちてしまうことは否めません。
「鳴き」で、自分の手を進めることと守備力が落ちてしまうことは、トレードオフの関係になっていることをきちんと理解しておきましょう。
相手に手役を読まれやすくなる
麻雀ではアガらなければ、もしくは流局しなければ自分の手牌が、他家に見られることはありません。
ただ、「鳴き」を利用すると、その面子は他家に公開されることになります。
仮に、上家から出た「7萬」を「7萬-8萬-9萬」の形でチーをすると、その形の面子があることが他家に情報として渡されるわけです。
その段階で「タンヤオではない」ということが他家にバレるわけですが、その後に上家から出た5萬を「4萬-5萬-6萬」の形でチーしたとします。
さらに「チャンタでもない」「萬子のイッツーか?」など、相手にどんどんと手役を読まれやすくなります。
その分他家からの警戒が厳しくなり、振り込みが期待しにくくなることには、注意しておきましょう。
鳴いた箇所が固定される
「鳴き」で成立させた面子は、その後触ることはできずに固定されます。
デメリットにならないケースも多々ありますが、たとえば「2索」がドラのときに、上家から出た「5索」を「3索-4索-5索」の形でチーをしたとしましょう。
このとき、鳴かずに面前で「3索-4索-5索」の面子を作れていれば、その後にドラの「2索」を持ってきても、手牌の「5索」と入れ替えて「2索-3索-4索」の形にすることでドラを手牌で使うことができます。
ただし、「3索-4索-5索」をチーして仕上げてしまうと、その後に「2索」を持ってきても使うことができずに、ドラを捨てるしかなくなります。
デメリットが発生する可能性があることも踏まえて、鳴くべきかどうかを判断しなければなりません。
麻雀で鳴くべきタイミング
麻雀では他家から鳴ける牌が捨てられたとしても、必ず鳴かなければならないわけではありません。
だからこそ「いつ鳴くべきなのか」の判断には、麻雀の腕が大きく反映されます。
麻雀で鳴くべきタイミングを、以下で紹介します。
鳴くことでテンパイするとき
麻雀において「テンパイしているかいないか」は、非常に大きな違いです。
テンパイしていれば他家が捨てた牌でロンができますが、テンパイしていないとどれだけ必要な牌が捨てられても、指をくわえて見ているしかありません。
そのため、「あと一牌でテンパイできるとき」の鳴きの価値は、非常に高いです。
鳴くことによるメリットとデメリットを、天秤にかけたうえで判断する必要はありますが、鳴くことでテンパイするのであれば積極的に鳴くべきといえるでしょう。
鳴いてもマンガン以上が狙えるとき
麻雀ではただアガるだけではなく、ある程度の打点が伴ったアガりが求められるケースが多いです。
高打点のひとつの基準になるのが「マンガン」なので、鳴いてもマンガン以上が狙えるときは、積極的に狙っていくべきでしょう。
手牌にドラが2枚以上あるときの親のダブ東、タンヤオがハッキリ見えるときのタンヤオ牌のドラなどは、ポンすべきです。
チンイツは、面前でハネ満や倍満を狙っていきたいところですが、鳴いてもマンガン以上が保証されているので、シチュエーションに応じて鳴くのも十分ありです。
一方、鳴いたことによって最終的に1,000点や2,000点しか上がれなさそうな場合は、状況にもよりますが鳴かないほうが良いでしょう。
急所の牌が捨てられたとき
手牌によっては、「あの牌がないと話にならない」というような急所の牌が、存在することがあります。
「7-8-9」の3色を狙っているときに、すでに場に2枚枯れている7萬が上家から出た場合は、積極的にチーすべきです。
また、手牌に「3446」という形がある状態では「5」の牌が急所といえるので、上家から「5」が出た場合はチーするのが賢明です(役の成立条件にもよります)。
各々の手牌によって、どの牌が急所なのかは変わりますので、鳴くべき牌とスルーして良い牌は適切に判断しなければなりません。
流局が近いとき
麻雀では流局すると、テンパイしている人はテンパイしていない人から、点棒をもらうことができます。
自分だけがテンパイしている場合、他の3人から1,000点ずつの合計3,000点をもらえますが、これは面前で2翻役を上がった場合とほぼ同じ点数です。
逆に、自分だけがノーテンだと他の3人に対して1,000点ずつの合計3,000点を支払うことになり、他家に対して面前の2翻役を放銃したのとほぼ同じ出費になります。
つまり、流局が近いにも関わらずテンパイしていないのは、非常に損です。
ノーテンによる失点を避けるためにも、流局が近くなってきたらせめて形テンには持っていけるように、鳴きに対する意識を高めることが重要です。
麻雀で鳴くべきでないタイミング
麻雀には鳴くべきタイミングがある一方で、もちろん鳴くべきでない、鳴くのはあまりおすすめではないタイミングもあります。
ここでは、麻雀で鳴くべきでないタイミングを紹介します。
点数の期待値が一気に落ちるとき
ひとつの例としてドラが「2索」のときに、手牌の構成が
- 「2筒-3筒-4筒」
- 「3索-3索-4索-4索」
- 「2萬-3萬-4萬」
- 「7萬-7萬」
- 「不要牌1枚」
だったとしましょう。
この手牌は、自力で「2索」を1枚引いたあとにリーチをしてもう一度「2索」を引くことができれば
- リーチ
- ツモ
- タンヤオ
- ピンフ
- 三色同順
- イーペーコー
- ドラ
- ドラ
の9翻で倍満になります。
「2索」のうちどちらか1枚が「5索」だったとしても
- リーチ
- ツモ
- タンヤオ
- ピンフ
- 三色同順
- ドラ
の7翻でハネ満です。
このとき、鳴けるからといって「5索」を鳴いてしまうと、点数の期待値が一気に落ちてしまい、良くて
- タンヤオ
- 三色同順
- ドラ
の3翻、最悪の場合「タンヤオ」のみの1翻でのアガりになってしまいます。
最善の最終形と最悪の最終形において、点数の期待値が大幅に変わる場合は、鳴くのは賢明ではありません。
鳴ける箇所が急所ではないとき
手牌に「3索-4索」とあって、「2索」もしくは「5索」を引いてきて面子を作りたい場合、まだ場に「2索」と「5索」が1枚も見えていなければ、有効牌は最大で8枚山にあることになります。
この状態での「2索」や「5索」は急所といえる箇所ではないので、鳴きによるメリットとデメリットを天秤にかけると、鳴くべきではありません。
山読みや他家の手牌読みなどがある程度できるようになると、場に1枚も出ていない状態でも、自分の欲しい牌が山にあまり残っていないことが、判断できるようになるでしょう。
その場合は、鳴くという判断になることもあります。
ただ、麻雀ビギナーのうちは残り枚数が目に見えて少ない牌でなければ鳴かない、というような意識をもっておいたほうが好結果につながることが多いです。
親(もしくは点数の高そうな人)からのリーチが入っているとき
麻雀は、ときに守備に回らなければならない局面もあります。
自分の手にあまり価値がない状態で親、もしくは染め手やドラの暗槓などで点数が高そうだということが判断できる人からリーチが入っている場合は、守備にまわるほうが賢明です。
守備に回る場合は、手牌が多いほうが良いことは先ほど触れたとおりなので、そのようなケースでは「鳴き」で手牌の枚数を減らすべきではありません。
遅い巡目で出ていく牌が危険牌のとき
麻雀は遅い巡目になればなるほど、他家がテンパイしている(=自分の捨てた牌でロンと言われる)可能性が、高くなります。
流局時のノーテンを避けるためには、「鳴き」を視野に入れる必要があると先ほどお伝えしましたが、その過程で他家にアガられては意味がありません。
鳴くことによって自分の手は進みますが、その際に出ていく牌によって他家からロンと言われる可能性は、十分あります。
遅い巡目で鳴く場合は、出ていく牌の危険性を慎重に判断して、危ないと思うのであれば鳴くのをやめるほうが良いでしょう。
麻雀で鳴くタイミングを覚えよう
「鳴き」は、麻雀の重要な戦略のひとつであると同時に、多くの麻雀ビギナーが最初にぶつかる壁でもあります。
鳴くべきかどうかを適切に判断するためには、「鳴き」によるメリットとデメリットを、きちんと判断する必要があります。
そのうえで、麻雀は一人で行うものではなく対戦相手がいるゲームなので、「鳴き」が場にどのような効果をもたらすかを考えて、鳴くべきかどうかを判断しなければなりません。
本記事でお伝えしたのはあくまでも基本的な部分ですが、麻雀ビギナーの方はまずは基本的な部分を抑えながら実践の中で「鳴き」を試していき、自分なりに感覚をつかんでいくことを意識しましょう。
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